定禅寺通りの投資家日記

仙台市在住の投資家による投資日記です。投資歴は13年、現在1.2億円ほど運用しています。

規制リスクと中国株の期待値

中国の規制リスクにも関わらず、中国株の買い増しを続けているわけですが、中国株に対してどのような評価をしているのかまとめてみます。

市場の評価

まずは、市場が中国の規制リスクをどう捉えているか調べるために、中国の代表的な銘柄としてアリババとテンセント、比較対象として、米国のグーグルとマイクロソフトのファンダメンタルズ指標を比べてみます。

以下の成長率やPERは、マネックス証券の銘柄スカウターの値を使用して計算しました。

【テンセント】

2016~2020年の営業利益成長率は、26.08%

現在のPERは19.2倍、PEGレシオは、19.2 / 26.08 = 0.73 となります。

【アリババ】

2016~2020年の営業利益成長率は、32.74% (巨額罰金のあった2021年を入れると24.52%)

現在のPERは19.6倍、PEGレシオは、19.6 / 32.74 = 0.59となります。

【グーグル】

2016~2020年の営業利益成長率は、14.82%

現在のPERは29.8倍、PEGレシオは、29.8 / 14.82 = 2.01となります。

マイクロソフト

2016~2020年の営業利益成長率は、25.58%

現在のPERは37.8倍、PEGレシオは、37.8 / 25.58 = 1.48となります。

米国の2社と比べると、中国の2社は、大ざっはにPERで4割引、PEGレシオで6割引程度の評価しか受けていないことがわかります。 2020年頃までは、中国の2社と米国の2社は指標面で似たような評価をされていたので、市場は中国リスクを4~6割引相当と考えているようです。

規制リスクの評価

市場の評価は、4~6割引相当でしたが、以下は私が考えた中国株への評価です。4パターンのシナリオを作り、それぞれのシナリオの予想発生確率と予想株価を出しました。各シナリオの発生確率や株価の予想は完全に主観であり、中国経済に対して、専門的な知識を持っているわけではないことを強調しておきます。

楽観シナリオ 成長率への影響が0~-5% 予想発生確率25%

規制により、やや成長率が下がるものの、大きな影響はない。市場は再び成長株として評価しなおし、PERはマイクロソフトよりやや低い30倍程度になる。

1年後の株価は、PER上昇により1.5倍、EPS成長により1.25倍 → 現在の1.875倍程度まで上昇

やや楽観シナリオ 成長率への影響が-5~-15% 予想発生確率65%

規制により、成長率が下がる。以前のような高成長には戻らないものの、15%程度の成長は続く。PERはグーグルよりやや低い24倍程度になる。

1年後の株価は、PER上昇により1.2倍、EPS成長により1.15倍 → 現在の1.38倍程度まで上昇

やや悲観シナリオ 成長率への影響が-15~-25% 予想発生確率9%

規制により、大幅に成長率が下がる。成長率は5%程度になり、PERは10倍程度まで落ちる。

1年後の株価は、PER下落により0.5倍、EPS成長により1.05倍 → 現在の0.525倍程度まで下落

悲観シナリオ マイナス成長または非営利化 予想発生確率1%

規制により、マイナス成長となる。もはや社会的なインフラと化している2社のため、中国全体の成長を考えるとあまりなさそうですが、全体の成長スピードよりも事業の一部が非営利化されるスピードの方が速く、マイナス成長するケースです。 最悪の場合、教育関連と同様に企業価値のほとんどを失うことになります。 中国政府も近年の中国の発展が、市場経済の成長によるものが大きいと理解しているはずなので、自らの首を絞めるようなことはしないでしょう。 テンセントも未成年に対するゲームの利用に関して、自主的に規制をかけるなど、中国政府の方針に従う姿勢を見せており、ここまで荒っぽいことはしないと考えています。 発生確率を1%(それでも高すぎる予想ですが)、発生した場合はPER 0(無価値)と評価します。 実際には、教育関連の企業も完全に無価値になったわけではなく、事業の一部(といっても高い割合)が非営利化されたに過ぎません。

期待値

上記のシナリオの予想株価と発生確率を元に、期待値を計算してみます。

楽観シナリオ: 1.875 × 25% = 0.46875

やや楽観シナリオ: 1.38 × 65% = 0.897

やや悲観シナリオ: 0.525 × 9% = 0.04725

悲観シナリオ: 0 × 1% = 0.0

全シナリオを合計した期待値 = 1.413

1年後には株価が1.4倍程度になっているという期待です。上記のシナリオは、規制リスクを織り込んで再評価するのに1年かかるという想定のため、もっと時間がかかれば、ブレは大きくなります。

おそらく市場は、悲観寄りのシナリオの発生割合がもっと高いと評価しているのでしょう。

中国株への投資スタンス

上記は、あくまで個人的な予想であり、今後、何が起きるかはわかりません。期待値が高いからといって、PFを中国株だけに集中するつもりもありません。

中国株に限った話ではないですが、同じリスクを背負った投資は、PFの25%程度を上限にしようと思います。